「理念」「育てたいという思い」がハーモニーを奏でる
昨年度、中嶋塾@東京2023と地球市民オンライン塾2023を同時に行いましたが、閉塾(解散)をした後も、つながった仲間同士が交流を続けています。大修館書店『英語教育』10月号の特集記事では、住んでいる地区や校種の異なる4人の塾生たちがつながり、4ヶ月に渡って連絡を取り合いました。11pの「ストーリー」はそのコラボレーションでした。全国にたんぽぽの「綿毛」として飛んでいった仲間たちは、それぞれの地区で、それぞれの思いで「若い教師」を育てようとしています。
今回、ご紹介するのは、中嶋塾@東京2023のメンバーだった本田大輔先生(北区立飛鳥中学校)と地球市民オンライン塾のメンバーだった八木一真先生(福島県新地町立尚英中学校)が意気投合し、互いに「刺激」を与え合い、個々の「授業力」を高め、それを生徒たちに還元した実践です。
お二人からは、卒塾式を終えてすぐ、メールで「プロジェクトを立ち上げた」という報告がありました。その後、お二人はオンラインで東京と福島をつなげて授業をされました。その報告書(A面とB面)が届きましたのでご紹介しておきたいと思います。レコードのA面(表面)は実践について、そしてB面(裏面)は、そのプロセスについて記されています。
https://nakayoh.jp/wp-content/uploads/2024/09/HP_縦軸と横軸が交わる時(A面)_八木一真_福島県尚英中学校.pdf
https://nakayoh.jp/wp-content/uploads/2024/09/HP_縦軸と横軸が交わるときB面_本田_北区立飛鳥中学校-1.pdf
八木先生は、「福島県の若い先生を育てたい」と考え、同じく中嶋塾@東京2023のメンバーだった福島県双葉郡葛尾村立葛尾小中学校(🟢「個別最適な学び」をどう考えればいいの?(全3編)」を参照)の山田昌典先生、旧中嶋塾のメンバーだった松本涼一先生(双葉郡楢葉町立楢葉中学校校長)と一緒に活動を始めておられます。
一方、北区の英語教育をさらに向上させたいという思いの本田先生は、11月13日(水)に北区の英語科の先生方が集まる研究大会で「提案授業」(インタビュー・マッピングから発展した探究コーラル・マップ、ディベート)に挑戦されます。昨年度、授業を2回拝見したとき、その質の高さに驚きました。今回も期待が高まります。
「利他」(誰かのために)の気持ちが自分を、そして生徒を育てる
今まで、イギリス、フィリピン、台湾、ニュージーランドの学校とオンラインで繋いだ授業を拝見する機会がありました。これからは、オンラインで瞬時に世界につながる時代です。「無理」と考えるのではなく、「やってみたい」と思ったら、すぐに「えい、やっ!」とやってしまうことが大事です。時間はあっという間に過ぎ去ります。残るのは「後悔」だけです。
一人でやっていると、いつの間にか、「目先」だけを見るようになります。人生は、誰と出会うか、その出会いをどうその後に活かすかにかかっています。どんな “human network” を構築できるかで、末広がりになるか先細りになるかが決まるように思います。
「英語教育ゆかいな仲間たち」のメンバーとは20年以上の付き合いです。それぞれが、出会った時に「磁石」のように引き合ったのは、単に「指導技術」を求めていたのではなく、当時の英語教育の方向性(「言葉」という手段を、テストの点数や入試合格などのように「目標」にしていたこと)に疑問を感じており、個々の「理念」が共鳴しあったからです。
「地球市民を育てる教師のための研修会」は、大阪の寝屋川市を拠点として10年間で100回行いました。280人を超える卒業生たちは、関西圏で大活躍しています。特に、狩野伸行先生(堺市立上野芝中学校教諭)が立ち上げた関西英語授業研究会(Harvest)では、卒業生たちが中心になって、新しい視点(多種多様な分野の講師)を学ぼうとして様々な研修会を企画しています。特筆すべきは、関西を5つのブロック(南大阪、北大阪、神戸、京都、奈良)に分けて支部組織を作り、それぞれのチームが「自己責任」で研修を企画し、互いに良い影響を与え合っていることです。
待っているだけ(学校と家庭の往復だけ)では、仲間(同志)は増えません。自分が「どんな授業をしたいか」(利己になりやすい)ではなく、「どんな英語教育を求め、どんなプロジェクトに参画し、どんな力をつけたいのか」(利他につながる)が鍵になります。そして、その生き方はクラスの生徒たちへの大きな波及効果(backwash effect)となります。