10年経つと見えてくること、逆に見えなくなってしまうこと
アイキャッチでご紹介したのは、川上光太先生(ドルトン東京学園)の前任校(鴎友学園女子中高)でのご実践(名言カレンダー)です。川上先生は、上智大学の和泉伸一先生の応用言語学ゼミで、CLILやフォーカス・オン・フォーム(以下FonF)を学ばれました。上智大学では、「英語科教育法」のテキストが『だから英語は教育なんだ』(研究社出版)になっていること、さらに和泉氏の著『「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育』大修館書店)で紹介された私の実践(DVD『割りばしとカナダの新聞日曜版から環境問題を考える』学研)を実際に映像で視聴されていたこともあり、川越での講演会後の懇親会で親しくなりました。
川上先生は、次のように言われました。「2021年、春休みの宿題のアイデアを生徒から募集し、一番人気の高かったものが、「今週の英語名言カレンダー」でした。、好きな偉人の名言を一つ選び、その内容と英語表現について説明するというもので、完成したカレンダーは実際に各クラスで使われました。個性溢れる作品が集まり、生徒も毎週めくるのを楽しみにしていました。生徒からアイデアを募ると、こんなにも面白いタスクを考えてくれるのだと、とても驚いたことを覚えています」
また、川上先生は、大学時代に「鍛えられたこと」として、次のことを挙げておられます。
「和泉伸一先生のゼミでは、意味内容を重視した言語活動のあり方を学びました。言語活動を通して、言語形式への気づきを促し、新たな表現方法の習得を促すのです。例えば、仮定法過去完了では、物語の異なる結末を書くといった活動が用意されます。「もし、この時、ヒロインがあの男性に出会っていなければ」「もっと主人公が早く秘密を打ち明けていたら」などの仮定をもとに筋書きを考え直すことで、”If she had not met her, her life would have been…”のような表現を自然に使うことになります。フォーカス・オン・フォームでは、このように「仮定法過去完了を習得するための機械的な指導」ではなく、「仮定法過去完了でなければ表現できない」といったオーセンティックな場面設定を通して、思考を楽しみながら創造的に表現をすることができます。正確さや形式の偏重に陥りがちな日本の英語教育から、言葉に意味を通わせていくことに変えていくことがいかに大事であるかを身にしみて感じることができました」
このような realia(レアリア)を授業の中で展開することが私たち英語教師の使命です。教科書に書かれていることを淡々と生徒たちに説明するのではなく、思わずその場面が頭に浮かんでくるような自然な場面を提供することこそが、教師の教材開発(教材研究)です。「自分はそのようなことを大学では教わっていない」とため息をつくのではなく、和泉先生が書かれた上掲の書籍を読まれれば、十分「仮定法過去完了」の事例のような指導が可能になります。
教師は「経験年数」に応じて、様々な校務分掌の仕事ができるようになります。授業も生徒指導も経験値が高まっていきます。ただ、それはイコール授業力も高まるという意味ではありません。そこが難しいところです。
川上先生は前任校に5年、その後海外の大学院で学ばれて現在30歳です。しかし、和泉先生のもとで、すでに授業づくりの「視座」を身につけられたのではないかと考えます。なぜなら、彼は「connector としての教師」をライフワークにしたいと言っておられるからです。つまり、それは「生徒と共に紡ぐ授業」です。教師は、誰と出会い、どのような刺激を受け、何を学び取るのかといったことをベースに「成長」していきます。そして、教師をさらに成長させるのは、「生徒からも学ぼう」とする姿勢です。
令和元年度「免許更新講座」終了時の感想から教師の「成長」を読み取る
今ではもうなくなりましたが、教員経験が10年を過ぎると「免許更新」のために大学で一定の時間研修をする(講座を受ける)というシステムがありました。私も、関西外国語大学に勤務していたとき、新里眞男先生とご一緒に講座を担当していました。教師は10年経つと、どのようなことが理念になり、どのようなことに悩み、またはどのような思い込みが生まれてしまうのでしょうか。教師の「成長」ということを考えたとき、とても興味が湧いてきます。
ここに、令和元年度の「免許更新講座」(中嶋)に参加された受講者20名の感想があります。多種多様な校種、異なった経験をお持ちの方が受講されました。読者の皆さんの中にも、同じような境遇の方もおられるのではないかと考えます。受講者が2日間の講座を通してどう考えられたのか、どう自己決定されたのか、参考になれば幸いです。ちなみに、私は、毎回、講座の冒頭で、ゴール(評価内容、評価方法、評価基準)を示していました。次のようなものです。
◆ 令和元年度 教員免許更新講座 認定テスト
https://nakayoh.jp/wp-content/uploads/2025/03/令和元年度-教員免許更新講座-認定テスト(中嶋).pdf
◆ 令和元年度 教員免許更新講座 認定テスト 評価基準
https://nakayoh.jp/wp-content/uploads/2025/03/令和元年度-教員免許更新講座-認定テスト-評価基準(中嶋).pdf
● 一流のコックは料理の形がイメージできていて、最高の料理を出すための良い食材を集めることに余念がない。プロの教師はBackward Designができ、最高の授業を提供するため、いい教材(トピック)を集めることに時間を惜しまない。特に、書くことや話すことにおいては、「書きたい、話したい」と思えるようなトピックを準備できるかどうかが、授業成功の大きなカギを握るということを今回の講座で学んだ。
トピックについては、一人ひとりが選べるようにすることで、クラス内で個々の活動が異なり、個別の学習が可能になるという発想は、今までやりとりの部分で悩んでいた私にとって大きな発見となった。
これまでの授業では、ワークシートに頼ったパターンプラクティス中心の授業をしてしまっていたが、2学期以降の授業では、ワークシートから脱却した言語活動に取り組んでいきたい。教師を「職業」として選んだ以上、私は絶対に「プロ教師」を目指したい。
● 今回、中嶋先生の講座では、最初に「認定テストの問題」が示された。また、その評価基準(A, B, C, D, F)も示された。講義の最初に「スイッチ」が入った。このように明確なゴールがあると、そこへ到達しようと無意識の内に「何を考えれば良いのか」、「どういう姿勢で学べばよいのか」と、脳を使いながら学ぶ事ができた。何よりも「やらされている感」を感じることなく、自ら学び取ろうとする自分に気付いた。これが、私の授業に欠けている部分であると理解できたし、今後改善したい課題の一つである。
4技能を活かす言語活動の方法についても学ぶことができ、今後の授業で挑戦していくイメージを持つことができた。今までは、すべての活動がぶつ切り状態で、授業を通してうまく活用できていなかった。特に英語でのやり取りをしながらのマッピング。その後のライティング活動への移行のさせ方は自分でも驚くほどに楽しみながら、そしてとても「楽な気持ちで」英文作成をすることができた。今一度、自分のこれからと、生徒の将来のことをよく考え、4技能を活かす活動を授業で行い、生徒が変わる様子を見ていきたい。
● 何よりも「チームで行動する事で効果を最大限に発揮する」という事に尽きる。なぜなら、いつも研修にしろ、学校からは私一人で参加し、それをいかに自分の授業に組み込んでいく事しか頭に無かったからだ。中嶋先生の講座を通して、同僚性を高める事の大切さを特に学んだ。チームで同じゴールを共有し、そこに向かっていく手段は幾通りもあり、どの山を登るかは人それぞれだが、同じ頂上だけは目指す必要があるとひしひしと感じた。
「教師一人では何もできない」という中嶋先生の言葉を重く捉え、同僚でゴールの共有をし、頂上に登るべき道について同僚と話し合いを重ね、見事に生徒を頂上に到達させ、良い景色を見せたい。そのためには、まず我々教員が協力する姿勢を見せなければならない。そして学年経営、部活経営においても同じことが言える為、教師はその同僚性を高める為に、お互いに感謝し合う習慣や風土を職場に作っていきたい。教科主任、また学年主任として仕事の見通しを立て、コミュニケーションを取り続ける姿勢を見せたい。大切な事に気づかせて頂き、ありがとうございました。
● 自分の授業に対する悩みとして、以前から感じていたことは、面白い授業とは何かということだった。学力の低い生徒たちが、面白いと感じる授業を聞いてみると、それは現状では楽な授業や、雑談の多い授業であることが多々ある。その中で私は生徒を机に向かわせること、授業の中での生徒指導が自分の使命だと思っていた。英語らしいものが授業として成立していれば良いのだと思っていたが、それはもちろん面白い授業でないことに加え、学びに向かわせる力は少しも育てておらず、勤務校の様子に甘えた結果だったのだと改めて考えた。いろいろな活動例を見せていただく中で、「うちの生徒にはこんなこと…」と感じた部分は正直たくさんあったが、その一方で反省すべき部分も多かった。
解決策に向かうために、英語を楽しい、使ってみたい、言ってみたいと思わせる活動は何かを模索してみようと思う。そのためにも、教科書などの題材をできるだけ彼らの身近なものに置き換えるための教材研究と、教材準備が必要だと感じている。
また、もうひとつの問題点として、今回受講して日々痛感したことは、自分の英語力が不十分だということだ。勉強だけは常にしようと検定試験などを受験していたが、活きた英語力がないと自分の伝えたいことがSpeakingのみならずすべてにおいて伝わらない。今回講習に参加して、自分自身にプレッシャーのかかる状態のもとで改めて感じたので、さまざまな研修の参加や英語を使用する環境に身をおくなど、英語力向上の努力もしていきたい。
● 今回の講座で印象に残っていることがいくつかあり、その一つが、大学生のころに思い描いていた授業における教師像と、今の自分が大きくずれていることに気付くことができ、その頃に目指していた授業を思い出すことができたということだ。楽しい授業を展開したい。生徒たちが生き生きと英語を使っている授業がしたい。そう思っていたはずが、日ごろの業務の忙しさも相まって、高校入試までにいかにして教科書を終わらせるかということが優先されていた。その結果、言語活動が減り、自分としては授業を一生懸命にやっていたつもりでも、学習者からすれば「やらされている感」があり、答えを待っているだけの授業になっていたのではないかと反省することができた。生徒の可能性を自ら摘み取ってしまっていた自分を反省し、残り少ない夏休みの期間に授業の準備にしっかりと取り組んでいきたい。
● 今回の講座を受けさせていただき、今後の授業で取り入れてみたいことがたくさんありました。まずは、帯活動として行っているQ&Aは単なるペア活動にするのではなく、必ずリアクションとワンセンテンスを加えるという活動にしたいと思います。また、最初の活動として1-minute Talkや1―minute Picture Tellingにも挑戦したいです。その際には、トピックを3つ程度用意して、生徒に自己決定させることも意識したいです。
次に、音読指導には力を入れていきたいです。単語の発音だけでなく、文章も英語のリズムで強勢をつけて読むことを意識させていきたいです。普段から英語らしく強弱をつけて発音に注意して音読していると、発表などでも自信をもって英語を話したくなると思います。
また、Taskでは今後次の2つを改善したいです。一つめは、一つのTaskの中にできる限り4技能を取り入れることです。「これは自分のことを伝えるspeakingの活動です」と型を1つに決めるのではなく、speakingと同時にlisteningの活動に、listeningしたことを書いてみようとwritingの活動に、書いてあることを読んで理解しようとreadingの活動にといったように1つの活動の中に他の技能も取り入れるようにしたいです。さらにはより実生活に近いリアルな場面を想定した内容になるように、Taskについても教材観を大切にしていきたいです。単に、この会話を順番に練習しなさいのようなものにならないように気を付けて教材準備をしていきます。今回の講座の中にはたくさんの今後取り入れたい内容があり、大変勉強になりました。2学期から様々な取り組みに挑戦していきたいです。ありがとうございました。
● 今回の講座を通して、自分自身の授業の問題点と、生徒につけさせたい力が浮き彫りになった。私のこれまでの授業では、生徒の英語力や主体的に学ぶ力を伸ばすという点が抜けていた。プリントに頼り、生徒が勉強した気になるだけで、主体性を無視した授業を推し進めていた。生徒が即興でやりとりをしたり、英作文をするという機会もほとんど持たず、生徒が自分の思いを英語で伝える機会を奪ってしまったりしていた。授業の反省をする中で、私が生徒たちに高等学校3年間でつけさせたい力は「全体的な表現力」、「楽しんで英語を話すこと」、「教科書学習だけに頼らず、自分の英語で自分の思いを伝える力」の3つであることに気付いた。
1年次には簡単でも構わないし、時には日本語を用いてもいいので、表現力そのものをつける機会を多く持ちたい。生徒には自分の思いを表現することの楽しさ、スマートフォンやインターネットの世界ではなく、日常生活の中で友人とやりとりをすることの楽しさを知ってほしいと私は思っていたのだということ強く認識した。
ALTとのやりとりの中でも、英語がわからないと思い込み、すぐに諦めてしまう様子を幾度も目にした。外国人と英語でやりとりがしたいということは多くの生徒が望んでいることだと思う。生徒が諦めず、単語単語のやりとりから始めても大丈夫なのだと実感できるよう、上記したような授業を実践し、楽しんで英語を話せるようになってほしい。中嶋先生の生徒さんの詩を読み、生徒たちは楽しんで詩を作り、和訳を考えていたのだということが文面から伝わってきた。それは教師の導きで実現するのだということを先生が示してくださり、大変いい刺激になった。
私の勤務校では、生徒はできないだろうということを教師が決め込み、難しいだろうと思われることはしないということが各教科で見られる。教師集団全員が生徒の可能性を信じ、生徒がより良い人生を送るための準備を高校3年間でさてやりたい。学習指導要領が変わるという漠然とした認識ではなく、私たち教師全員の意識改革が急務であると痛感した講座だった。
● 教員として10年以上が経ち、時間と経験だけは重ねていたが、自身の授業の形式には飽き飽きしていた。どんな題材の文章を扱っても同じ流れになってしまい、新しいことを入れようと試みてもその場しのぎの投げこみで継続性がなく、滞りなく50分を進めることが目下の務めとなってしまっていたからだ。教育への情熱がなくなってしまったのかと自信をなくしていたが、この講座を通して気づいたことは、私自身が登っている山が違ったのだということだ。どのような生徒を育みたいか考えることをやめてしまい、気が付かないうちに教科書に依存しすぎていたように思う。
私が英語の授業を通して育みたい力は、多様な価値観を認めあうことである。外向的に発信することで内向的思考が確立していき、それぞれが大切にしている価値観が見えてくると考えている。これからの授業は、そういった多様な価値観を気づく場を、積極的に取り入れていきたい。まずは、生徒の興味関心がどこにあるかを知るためにも、講座で教えていただいたように有名人の格言を取り上げ、彼らの考えを聞いてみようと思う。学習した味気ない言語材料が読みたい気持ちと合わさり、理解して考えを伝えるといった実践的なやりとりに変わる瞬間を見届け、ともに自己表現活動を楽しむことが、真の山を登る入口のように感じている。そしてその瞬間をぜひとも同僚と見届けたい。同じゴールを目指す仲間を見つけることもまた、私の悩みを解決するために必要である。
● この講座を通して気付かされた私の一番の問題点は、卒業時の具体的なゴールのイメージを持っていないことだ。今までそのイメージを持たないまま指導してきた生徒たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。今までは生徒に合わせているつもりだったが、違う。私の考えが浅はかで甘かっただけだ。これから私は「英語を自由に使って、自らの考えを表現できる、または表現しようとする生徒」を育成したい。いつか中嶋先生の講座の映像に登場したような即興でディベートをできるような生徒を育成したい。そのためにまず、マッピングを用い、自分の考えを持たせる。
日常的にマッピングに取り組み、自分のことを表現することに慣れさせたい。2つ目に、英語を自由に使えるように、使用場面、型を示し、体得させたい。3つ目に、安心して自己表現できるようなクラスの雰囲気を醸成したい。その雰囲気がなければ、自己表現をのびのびとすることができない。また失敗しても大丈夫、先生は助けてくれると思える信頼関係を築きたい。
最後に、授業をどうしても日本語でなければならない場面を除き、英語で進めたい。講座の映像で見た先生はどの先生もほぼ英語で授業を進めておられた。私はそこまで英語で授業をできていない。もっと自らの英語力を高め、英語で授業を進められるように準備し、授業に臨みたい。そんな教師が努力する姿も生徒に見せていきたい。千里の道も一歩から。どんな時も目標を見失わず、向上心を失わず、私自身も成長していきたい。
● 私はこれまで授業の中で英語を読ませる際、生徒が英語の強弱やイントネーションを生徒自身が自発的にわかるようになるよう意識的に特訓してきた「つもり」でいました。ですがそれは間違いだったように今日思いました。それは実際に生徒が無意識のうちにできるようになった者もいたから「つもり」になっていたのですが、細かく一人ひとり見るとその差は確実にあり、全員に定着していなかったと気付いたからです。これは何も音読だけにとどまらず、すべての場面で、私の授業では生き生きと英語を使い学んでいる生徒はたくさんいましたが、その半面、英語力に二極化がうまれていました。あまり英語が得意ではない生徒にどうすれば授業に引き込むことができるのだろうということが常に私の悩みでした。
今回の講座を終えて気付いたことは、まずビジュアルで示すこと、目で見たことは印象に残るということです。思えば、そのような視覚に訴えるものを使用した際には英語がすらすらと出てこない子たちもいきいきとしていました。今回のようにパーセンテージにして、言語以外のコミュニケーションツールがどれほど理解を強めるのかをあの時に知っていればと悔やまれます。
● まず、授業の活動をより有意義な「やりとり」に変える。現在も数多くの言語活動を行っているが、実際に使用される英語の会話で生徒が自ら選択し、即興で多くの仲間とやりとりをすることはほとんどなかった。今後は、文法項目を扱う自然な言語活動を考え、自分のことに関するオリジナルの英語の文章を考え、相手と即興で会話をさせる。その際、相手の意見に相槌を打ったり、相手の意見に対して自分の考えを伝えたりすることも重視する。もちろん、本校の生徒にいきなり即興でこのような活動をすることは難しいので、パターンプラクティスで基本的な文法や単語や表現を覚えた後にそれらの活動を行う。また、活動後に本人が伝えたいことをうまく表現できかったと感じたまま終わるのではなく、口頭やプリントを通してそれらの表現をどう英語で言うかを調べる自学自習のサポートを行う。基本的なことをインプットし、自分でインテイクした後にアウトプットを行ない、その後で更にインプットすることにより学習の定着を図る。
次に、授業中の教師の説明をなるべく減らし、生徒が自ら推測したり考えたり他の生徒と相談するような環境を作る。その際、生徒に役割を与えて進行するなど、生徒が主体となって授業が行われるように工夫する。授業内で私の発言が多過ぎることは以前から認識していたので、説明をより端的にし、生徒が興味、関心を持って主体的に考えるように創意工夫する。それらの活動を通して、最終目標の英語の基礎的な知識を身につけ、実社会で自信を持って英語を使える生徒を英語科全体で育てる。
● 授業の中で必ず英語を使う(発音する)活動を取り入れて授業を行なっていたつもりだったが、speakingやwritingといったoutputの力になかなかつながらないことが大きな悩みであった。今回の講義を受けて、自分が生徒にさせていた活動はパターンプラクティスに終始しており、やりっぱなしの活動ばかりになっていたことに気がついた。今後は、活動に必ず自己決定の場面を設け、生徒に「伝えたい」という気持ちを持たせた上で活動に取り組ませたい。
そして、単なる情報の伝達に終わるのではなく、相手からの意見に一言共感の言葉を伝え、自分の意見を述べることができるinteractiveな言語活動を英語の授業の中で経験することができるよう、即興性のある活動を繰り返し経験させる。4技能を統合した活動にすることも意識して、読んだ文章に対する質問を自分で考え、それをペアで質問し合い、その答えに対する共感の言葉や自分の意見を伝えるようにさせる。新たな気持ちで2学期新たなスタートを切りたい。
● この講座を通して、自分の授業には全く言語活動がなく、単なる訳読授業になっていたことを再認識させられ、生徒達にとても申し訳ない気持ちで一杯になりました。「授業を良くしたい」「少しでも英語嫌いの生徒も巻き込んで授業を進めていきたい」そう思っていましたが、相談できる同僚がいなかったことにも気づきました。新しいことをしようとすると否定をされたこともあり、先輩の先生に「自分は英語を使った授業はしないから」と言われると、何となくそれに流されてしまったりと、自分の意思が弱い部分がありました。
来年度、現場に復帰した時には、先輩先生はもちろん経験年数の少ない先生たちとも悩みを共有し、育てたい生徒像について話し合い、3年間で生徒達に英語の授業を通してどのような力をつけさせたいのかを、英語科全体で同じ目標を持って授業づくりをすることが何よりも大事だと気づきました。そして、本来の教育の目的は知識を与えることではなく、「人格形成」であることも先生の講座で再確認できました。教科書の本文の背景にある異文化を深く掘り下げた授業をしてみたり、それらを題材としたディベートをしてみたり、より多くのことに関心を持つ機会を与え、物事を深く考えられる人間を育てたいと今回の講座で強く思いました。今後も、先生の講義や研修があれば積極的に参加し、自分のすべきことを再確認し、またそこで学ぶほかの先生と互いに高めあっていくことが大事だと気づきました。「生徒に気づかせる大事さ」「ある程度の負荷をかけてポテンシャルをひきだすこと」「すべての工程にはつながりが大事」ということ学び、早く現場に復帰して教室で実行したい気持ちになりました。ありがとうございました。
● この講座を数ある大学の講習より選んだのは、事前に提示された内容が魅力的であったからだ。こうしたことも、私が主体的に参加するきっかけを与えてくれている。期待感を持って授業に参加するということを知らない間に忘れてしまっていた。「自律的学習者」を育てることが大切だということは言葉では知っていたが、実際に自分がそれとは反対のことを行なってきたということに愕然とした。まず、教科書を先に進めるだけの授業から脱却しないといけない。
さらに、教師が授業を単なる作業に変えてしまっているだけのプリントの使用はしない。教科書を暗記させるような狙いではなく、教科書の意図を汲んで、それよりもさらに踏み込んで、どのような力を身につけさせたいかをしっかり考え、同僚を巻き込んで、考えをすり合わせる。生徒にゴールを示して、生徒に具体的な方向性を示す。教科書の使用の仕方から変化をもたせることで、生徒に期待感を持って授業に参加してもらえるよう負荷を工夫したい。
● 今までの私の授業と大きく違うところは最終目標から逆算していくということです。最終目標に到達するために、一つ一つの活動があり、それがつながっているということを意識して活動していきたいと思います。もう一つは生徒の自己表現活動をする機会を与え自分から英語を話せるようになりたいと思う気持ちを生徒自身に植え付けるような活動をしていきたいと思います。帯活動としてテーマを与え、英語での会話をする機会を与えたり、ダイアログの会話では、最後の一文に続けて英語で会話をしたり、ライティングはマッピングを使用して、論理的に記述できるようにしていきたいと思います。
目指したいゴール(育った姿)を設定し、適宜「現在地」を確認する
「成長」できる教師は、「ものごとをみる姿勢や立場」となる「視座」と「ものごとを見るための注意点」である「視点」の違いを明確に認識しています。たとえば、生徒をどう見るかという「視座」を高める努力を続けることで、今までになかった「視点」(捉え方)で考えられるようになり、目標を達成しやすくなります。感想の中で「太字」にした部分は、授業の質を改善するための「視座」になります。
確かな「視座」ができると、教科書の「素材」を「教材」に変えることができるようになります。たとえば、学期末に用意されている「統合的なタスク」や単元後のタスクは、全国津々浦々の生徒たちが「とりあえずできそうな内容」にしてあります。しかし、ここで生徒たちに「このままやってみたらどうなるかな?」と尋ねると、「なんかイマイチ。決め決めにされるのではなく、テーマは自分たちに決めさせて欲しい」とか「キャラは自分で選んでもいいですか?」とか「予選、本選のようにし、チームで対戦した方が盛り上がると思う」のようにいろんな意見を言ってくれrます。教科書は、バイブルではありません。「そのまま、書かれている通りにやらなければならない」という思い込みを捨てることが大事です。学習指導要領を的確に読み解けば、その自由度を高め、学習者の実態に応じて「カスタマイズ」しても良いのだということがわかります。
私は、講座の中で「格言を使った指導」は生徒の取り組みを変える、エピソードを掘り起こし、メッセージを意識できるようになると言いました。「格言」には、様々な言語材料が使われています。たとえば、不定詞を学んだ単元の最後には、不定詞を使っている格言のいくつかを生徒に提示し、その中から「刺さったもの」を1つ選び、それについて根拠となるエピソードを取り上げたり、刺さった理由を述べたりすれば、夢中になって取り組みます。たとえば、次のようなもの(現在完了形の最後に用意した格言)です。


大学では、学生に次の中から1つ選んで英語100 語程度(または日本語200文字程度)のエッセイを書いてもらいました。人気のあったのは、❷❹❻❼でした。
❶ Find purpose, the means will follow.
❷ A human being can alter his life by altering his attitude.
❸ The poor man is not he who is without a cent but he who is without a dream.
❹ Happiness is not a goal, it is a by-product.
❺ Create your tomorrow with your thoughts and action today.
❻ To keep a lamp burning, we have to keep putting oil in it.
❼ If your ship doesn’t come in, swim out to in.
❽ If you travel a path without obstacles, it probably does not lead anywhere.
授業(「英語科教育法」)では、次のような教材を用意し、クラス全体で話し合いました。その時、中学校、高等学校で経験した授業を思い出し、どこが優れていたか、また改善できるところはないかについても話し合いました。
https://nakayoh.jp/wp-content/uploads/2025/03/英語科教育法(わくわくする授業の原理原則).pdf
また、教員対象のセミナーでも「格言」を使います。次のようなものです。教師として共感できるもの、モットーにしたいものを1つ選び、その理由を3人グループで語ってもらいます。皆さんならどれを選ばれますか。

「格言」に人が「確かに!」と納得すれば、それはその人にとって「名言」となります。仲間の書いたものを読んでいるとき、教室から音が消えるほど真剣に読み合います。やがて「おぉ」とか「へぇー」という言葉が出てきます。それが「表現」の素晴らしさです。「個別最適な学び」(個人で書く)の次は「協働的な学び」(グループで読む)というように型通りに考えるのではなく、これも逆算で「協働的な学び」(新しいこと、違っていることを知ってもっとわくわくしたい)を深めるために、「個別最適な学び」を丁寧に行うのだと考える方が、授業作りが楽しくなります。
格言を使った学習は、自分ごととして捉えられ「個別最適な学び」を可能にする
川上先生の生徒さんたちが作った他のカレンダーをご紹介しておきます。想像してみてください。教師から「これを作りなさい」と言って与えられたタスクではなく、自分たちで「これをみんなで意識して生活をしたい」と言う「利他」の気持ちで作られたものです。「自己決定、自分ごと」が入ったタスクで、本気になれないはずがありません。




この後、川上氏が、新しい学校でどのような「新しい挑戦」をされるのか、氏への期待はつきません。
最後に、私がモットーにしているのは次の格言です。身近に感じていたいので、いつもこの袋を持ち歩いています。
