◆「楽しい!」方が脳に残りやすい
皆さんの授業では、子どもたちのどんな呟きが聞こえてくるでしょうか。
「え?そうなんだ…」
「そうかなぁ、うーん…」
「やっぱり、そうなのかな?」
「なんだか、違うみたいだけど…」
「もう少し、時間ください」
「今、閃いた。あと2分!」
「待って、まだ言わないで」
「あっ、あった、わかったっ」
いずれの場面も、授業に真剣に取り組んでいる様子、課題にワクワクしている子どもたちの様子が窺えます。
一方で、教師が「とにかく、教科書を終わらせなければ」と考えてしまうと、学習者を揺さぶったり、山場を用意して刺激を与えたりすることもなく、あらかじめ用意したプリントやスライドを淡々と進めていくようになります。「正解が出たら次に進む」という学習を、心から「楽しい」と感じている学習者はいません。
塾に通ってすでにその内容を知っている生徒でさえ、予定調和(正解だけを取り上げる)の授業に辟易しています。むしろ、彼らは塾では決して味わえない、仲間の考えを知り、互いに関わり合う中で内容が昇華されていくようなダイナミックな授業を心のどこかで求めているのです。
◆ 将来、クラス会で話題になることが、教師の授業への永遠の評価
皆さんが、中学校時代、高等学校時代の授業で、今も心に残っているシーンはどのようなものでしょうか。みんなで大いに笑い、またはジーンとしたシーン、仲間と協力して発表したというシーンではなかったでしょうか。
その時の気持ちは?
「あぁ、楽しいなぁ」という思いではなかったでしょうか。
「楽しいこと」はずっと覚えている。それが脳の特質です。
将来、クラス会で集まった教え子たちが話題にするのは、果たして何でしょうか。
それこそが、教師の授業に対する永遠の評価です。
入試は一過性のものです。希望したところに行けなかったから、その後の人生は味気なかったという話は聞いたことがありません。
人間は、自己更新を続けられる存在、挫折を乗り越えられる存在、そして環境の中で自分を生かそうと工夫できる存在です。そして、何が起きても堂々と現実に向き合っていける人間、ずっと自律的学習者として人生を開拓していける人間を育てるのが、私たち教師の仕事です。