🟠納得できる結果に必要なのは「良い準備」

何かを終わらせるための準備ではなく、良いものにするための準備を

物事は、「準備が全てを決める」と言っても過言ではありません。出たとこ勝負や先延ばしで、やっつけ仕事になってしまった場合、最後は見るも無惨な結果になります。そのような時は、「早めに取り組んでおけばよかった」という後悔が生まれるか、または「時間さえあればできていたのに」といった言い訳を用意するかのどっちかです。

準備」に必要なのは、早さ(時間的なゆとり)、見通し(きめ細かな段取り)、そしてチェック機能(正しい理解)です。たとえば、新しい校務分掌を担当する場合、前任者からデータを引き継いでいることから、いつでもできるという考えがあること、さらに見通しが持てないことから、どうしても仕事が遅れがちになります。この場合、少なくとも1ヶ月前に前任者が作成した文書を読み、わからないところ(イメージしにくいところ)に下線を引き、同僚に聞いてみることです。資料を会議に提出すること、ノルマを果たすことが大事なのではなく、「生徒たちが力をつけるために何ができるか」を追究することです。以前、別の記事の中で、「人は自分がイメージできないことはできないし、表現もできない」と書きましたが、最も大切なことは頭の中に「仕上がった時の具体像」が描けているかどうかであり、それができていないから先延ばしをしたり、教科書を先に進める授業になってしまう(育てたい生徒像がわからない)のだと思います。

次の写真はある居酒屋さんのトイレに貼られていた紙です。実は、このような言葉は、結構居酒屋のトイレで見られます。

居酒屋の店長であれば、お客さん相手の商売になるのでコミュニケーション能力は必須となります。さらに、守りに入ると客足は遠のくので、常に新しい戦術を考えます。そのように、自らアクションを起こせる人は、愚痴も言わないし、言い訳もしないということなのでしょう。それは、自分からやろうとしない限り、何も変わらないということを熟知しているからだとも言えます。そして、この店長さんの言っている「努力」とは、手間暇(相手に満足してもらうことをするために必要な時間)をかけることを厭わないこと、そして信頼度を高める(失念しない)ために、早め、早めに動くことです。

イチロー、大谷翔平選手の考え方

一流と言われる人は、理念やモットーを大切にしています。世界中の人から「一流」と認められているイチローと大谷翔平選手の考え方はよく似ています。

事前の準備、ルーティン、休息の取り方などに対するこだわりは半端ではないということです。限りなく”excellence“を求めているので、良い意味でストイック(自分を甘やかさない)です。

イチローは、輝かしい記録を打ち立てたことについて、次のように言っています。 

「あくまでも秤(はかり)は自分の中にある。それで、自分なりにその秤をつかいながら自分の限界を見ながら、ちょっと超えていく…ということを繰り返していく。そうすると、いつの日か『こんな自分になっているんだ』っていう状態になって。だから、少しずつの積み重ねでしか、自分を超えていけないというふうに思うんですよね。 一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられない、と僕は考えているので。まぁ、地道に進むしかない。進むというか、進むだけではないですね。後退もしながら、後退しかしない時期もあると思う。でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく。それが正解とは限らない。間違ったことを続けてしまっていることもある。でも、そうやって遠回りすることでしか、本当の自分に出会えない、そんな気がしています」

自然体で継続をすること、「自分なりのこだわり」を大切にするイチローの強い意志を読み取ることができます。イチローは、誰よりも球場に来るのが早く、時間をかけて丁寧にアップをしていました。そして、試合が終わってからもクーリングや後片付け(グラブやバットを綺麗に拭くなど)に時間をかけていたそうです。それが、彼にとっては次の試合に向けての「準備」でした。試合前だけが準備ではなく、終わった瞬間から準備を始めています。

皆さんは、何か行事や研修などで使ったマイクの長いコードや何かの回線などを一気に(次のことを考えずに)片付けてしまい、後で使う時になって、絡まったコードを前に悪戦苦闘するという経験をお持ちではないでしょうか。これも、後片付けをきちんとしておけば、ストレスもなく、すぐに使えたはずです。人気のあるレストラン、ラーメン店などは「最後に片付けるのではなく、次のことを考えながら片付ける」とか「段取りを決めて、そのルーティンを徹底する」ことを大切にしているようです。これは、ずっと申し上げているように、授業後に、きちんと振り返って「修正点」をチェックしておくことが、次の授業や単元計画に向けて大事な「準備」になるというのと同じではないかと考えます。

中学校や高等学校のキャリア教育や探求学習の講演を頼まれた時、上述したイチローの言葉を紹介することが多いのですが、「後退も受け入れる、正解はない、目指すものがあれば遠回りでもいい」といった部分は、自己肯定感をなかなか持てない思春期の子どもたちの「共感」(それでいいんだ。イチローもそのように考えていたんだという安心感)を生んでいます。

一方、大谷翔平選手は、自分が「楽しい」と感じること、好きなことをとことんやり抜くという考えです。それは、少年時代、そしてプロに入ってからもずっと守ってきた考えです。彼が高一の時に書いたという「マンダラート」Open Windows 64、ネットで紹介されているもの)の中には、壮大な人生計画(My Action)を描いています。それをコツコツと実践したからこそ、夢を実現できたのです。特に、全米中で話題になったのは次のことです。

北海道の北広島市にあるエス・コンフィールド球場(ES CON FIELD HOKKAIDO, 北海道ボールパークFビレッジ, 日本ハムファイターズの本拠地)には、大谷翔平選手の言葉が壁に刻んであります。

二刀流(投球も打撃も挑戦する)は、彼が「楽しい(好きだ)」と感じていることです。相手投手やバッターと対戦する時にワクワク(ヒリヒリ)する瞬間が訪れます。そのギリギリの緊張を楽しんでいるのでしょう。

イチロー、大谷翔平選手、それぞれタイプは違いますが、二人が「納得」のいく結果を出せたのは、好きなことを楽しむために、とことん「良い準備」をしたからだと言えないでしょうか。研究授業の準備も、いいところを見せるための準備(preparation)ではなく、子どもたちが活躍できる環境(readiness)を整えるようにしてみることで、授業の見方もずいぶんと変わります。

◆エス・コンフィールドは、アメリカ大リーグの球場のようにスケールが大きく、とても綺麗です。世界最大級のLEDビジョンには圧倒され、映画を見ているようで breathtaking です。ぜひ、行ってみられてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

英語 "わくわく授業" 研究所 代表(元関西外国語大学教授)
(公財)日本英語検定協会派遣講師・(株)リンク・インタラック エグゼキュティブ・コンサルタント