🍀“Three Sentences.”で文脈を立ち上げる(3/5)

第3回:文脈を可視化し、4技能と家庭学習へ広げる ー 定着と伸びの設計

「文脈が大事なのは分かりました。
でも、それをどう教えればいいのですか

Three Sentences. を紹介すると、
必ずされる質問です。

第1回では、
1文では足りない

2文では弱い

3文で初めて文脈が立ち上がる
という設計の原点を示しました。

第2回では、
Three Sentences. が、

“教室で回る型”になること、

つまり思考が循環し始める構造を扱いました。

次に問われるのが、
「その文脈を、どうやって全員で共有するのか」
という段階です。

多くの場合、教師は、

  • 説明を丁寧にしようとする
  • 例文を増やそうとする
  • 手順を細かく示そうとする

という方向に進みがちです。

しかし、授業を拝見すると、
説明量が増えたからといって、

文脈が共有されるわけではない
ということが、よく分かります。

なぜなら、
文脈とは「聞いて理解するもの」ではなく、
「今、何をしているのかが一目で分かる状態」
になって初めて、共有されたと言えるからです。

生徒が止まる理由は、「力不足」なのではない

Three Sentences. に取り組んでいると、
こんな場面に出会います。

  • 1文目で手が止まる
  • 2文目で話題が逸れる
  • 3文目が、ただの付け足しになる

生徒が迷っているのは、
「今、この1文は、全体の中で何をしているのか」
(どこに繋げればいいのか)が見えていないからです。

文が出てこないのではなく、
現在地が分からないのです。

教師がここに気づかないと、

「彼らには無理なのかな」とか

「もっと単語を教えなければ」とか

「練習量を増やさなければ」と

考えてしまいます。

◆ 「3文で考える」とは、流れを扱うということ

「3文で考える」というのは、
単に文の数を3つにすることではありません。

  • 1文目:話題を立てる
  • 2文目:具体を足す・広げる
  • 3文目:意味づけをする・つなげる

という流れを意識することです。

この流れが見えていないと、
生徒は、
「とにかく3文書かなければならない」
というノルマの作業に陥ってしまいます。

しかし、
今は、入口。話題を立てるところ
ここは、広げる場面
ここは、意味を結ぶところ
と分かっていれば、
1文1文の役割を意識するようになり、

作業ではなくなります。

◆ 文脈を可視化する、たった一つの工夫

では、文脈はどうすれば「可視化」できるようになるのでしょうか。

特別な教材は必要ありません。

大切なのは、流れを常に“見える位置”に置くことです。

たとえば、黒板の端や掲示に、

Topic(話題)

Detail(具体)

Meaning(つながり・意味)

と、常に書いておくのです。

あるいは、

① Now

② Next

③ Finally

と、今どこにいるのかを示すこともできます。

それだけで、生徒の迷いは消えます。

なぜなら、

判断の基準が教室に置かれるからです。

教師の頭の中にある構造を、

教室全体の「共有物」にする。

それが「可視化」です。

◆ 「今、何をしているのか」が分かるサイン

文脈が共有されるようになると、
生徒の使っている言葉が変わります。

  • これは1文目だから、あまり詳しく書かなくていいよね
  • 2文目は、理由を書くんだよね
  • 3文目だから、どんな気持ちを書こうかな

こうした発言が、
教師の指示ではなく、
生徒同士のやり取りの中から自然に生まれるようになります。

これは、流れを理解した上で、自分なりの表現を選んでいる(活用している)状態です。

「3文」は、思考の足場

「3文」という枠は、
制限(生徒を縛るためのもの)ではありません。

むしろ、
「何から書けばいいか分からない」
「どこまで書けばいいか分からない」
という不安を取り除くための、思考の「足場」です。

何をどう考えればよいのかが見えているとき、

生徒のエネルギーは「不安」ではなく「思考」に向かいます。

そして、この構造は一場面にとどまりません。

次のように4技能に波及していきます。

  • 話す ─ 情報や考えを、順序立てて伝える
  • 書く ─ 脈絡を確かめながら、論理を整える
  • 読む ─ 段落構造をつかみ、意味の流れを追う
  • 聞く ─ 話の展開を予測しながら理解する

足場は、活動を支配するものではなく、あくまでも構造を導くための「設計」です。

構造があるからこそ、判断が生まれる。そして、判断が生まれるからこそ、4技能が分断されず、「使える力」になって結びついていくのです。

さらに、家庭学習でも、

「今日は①だけを考えよう」とか

「②を厚くするためにもっと練習をしよう」

のように、主体的に取り組むようになります。

文脈の可視化は、学習者の自走を支える「設計」となるのです。

▶️ 第4回の予告 — 文脈の先にあるもの —

ここまで、
3文が「文脈を可視化する足場」になることをご紹介してきました。

次に問うのは、
「その3文で、何を語らせるか」
ということです。

構造が見えたとき、

内容の質が問われます。

そこで使われるのが OREO、PREPという「論理の設計ツール」です。

では、Three Sentences. という「文脈の設計ツール」とどう組み合わせればいいのでしょう。

第4回は、
これらを接続し、
文法・思考・コミュニケーションを一本の設計図で結びます。

学習者は、そこから、ぐんぐん伸びていきます。

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この記事を書いた人

英語 "わくわく授業" 研究所 代表(元関西外国語大学教授)
(公財)日本英語検定協会派遣講師・(株)リンク・インタラック エグゼキュティブ・コンサルタント