🍀Three Sentences. が文脈を立ち上げる(5/5)

第5回:Three Sentences. が、教室を越えて協働を生んだー 実践の検証

第4回では、
Three Sentences.
OREO や PREP に先立つ
入口の設計」であると言いました。

これまでのポイントを整理しておきます。

① 英語は「1文」では伝わらない

② 3文つながったとき、意味(文脈)が立ち上がる

③ 文脈が立ち上がると、音読は作業から表現(朗読・演読)に変わる

④ その積み重ねが、「話す」「書く」土台になる

Three Sentences. は、

技法ではなく
学びの動かし方
「設計」です。

では、その力は、
相手が「教室の仲間」ではなくなったときにも
機能するのでしょうか。

今回紹介する実践は、
その問いに、
一つの明確な答えを示しています。

福島県新地町立尚英中学校と、
東京都北区立飛鳥中学校

互いに初対面中学1年生同士が、
画面越しに向き合い、
自然に「協働」していった
オンライン授業の記録です。

なぜ、初対面でも「協働」が成立したのか

指導者は、昨年、3年生でオンライン・ディベートに取り組まれた八木一真先生(尚英中)と本田大輔先生(飛鳥中)です。

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今回、画面越しに向き合った両校の1年生は、
それまで一度も会ったことのない関係でした。

教師側に経験の蓄積はあっても、

決して条件が整っているというわけではありませんでした。

お二人の中には、一抹の不安がありました。

持ち上がった(継続して指導した)状況ではない

知らない相手とのコミュニケーションは初めて

画面越しでは空気がつかみにくい

沈黙が流れたとき、それを打開できるのか

しかし、実際のオンライン授業では、

  • 相手の話を聞き
  • うなずき
  • 言葉をつなぎ
  • 自分の考えを補足し
  • 話題を広げていく

そんな「協働」が、自然に生まれていました。

それに向けて
特別な練習をしたからではありません。

共通していたのは、「文脈で考える習慣」

二人の実践に共通していたのは、
日頃から、思考ツールを使って

広げる・つなげる・まとめる・深める」活動を位置付け、

さらに 文脈を意識した言語活動を展開していたことでした。

  • 何を伝えたいのか
  • なぜそう思ったのか
  • それを、どう広げたいのか

二人は、これを習慣になるまで徹底しました。

だからこそ、
相手が誰であっても、
話題が初めてであっても、

まず、何から言えばいいのか
次に、何を足せばいいのか

が、どの生徒にも見えていたのです。

Three Sentences.

目的・場面・状況を明らかにし、

具体を足し、

意味を乗せる。

その基本動作が、すでに自動化されていたからと

考えられます。

八木先生が、その時のことを次のように振り返っておられます。

https://nakayoh.jp/wp-content/uploads/2026/01/八木先生_1年生オンライン授業の感想.pdf

「文法」が目的ではなかった

このオンライン授業は、
「be going to を使いましょう」
「比較級を使いましょう」
といった文法指定の活動ではありませんでした。

生徒たちが向き合っていたのは、

⚫︎ 自分は、何を伝えたいのか
⚫︎ 相手は、何を言おうとしているのか

という、コミュニケーションの本質的な部分です。

その中で、

  • これまでに習った文法
  • 知っている語彙
  • 使い慣れた表現

活用(総動員)しながら、
「伝わる形」を必死に探していたのです。

ここでは、
文法は「目的」ではなく、
必要だから使う「コミュニケーションのツール」になっていました。

言葉は、場面でしか意味を持たない

この授業を拝見して、改めて感じたことがあります。

それは、

言葉は、場面でしか意味を持たない」 

ということです。

同じ単語、同じ文でも、

  • 誰に
  • どんな気持ちで
  • どんな文脈で

使うかによって、
その重みも、響き方も、まったく変わります。

文法の構造や文の意味ももちろん大事ですが、

忘れてはいけないのは「使われている場面

なのだということを、

授業を通して、

コミュニケーション活動(言語活動)を通して、

子どもたちが体得できるようにすること。

それが、私たち英語教師の仕事です。

たとえば、

次の英文をそれぞれの役になりきって

音読なさってみてください。

言い方はどう変わるでしょうか。

読み方がガラリと変わったはずです。

では、次のような場合、どのように“John”と言うでしょう。

これも実際にやってみてください。

これを生徒たちにも体験してもらい、

登場人物たちの気持ちが入った教科書本文をどのように読めばいいだろう?」と投げかけると、

途端に「どう読めばいいか」を考えるようになります。

教師の仕事は、

キャラに「性格づけ」をさせたり、

感情を読み取らせたり、

形容詞や副詞の部分を

そのニュアンスが伝わるように

読む指導をしたりすることです。

参考資料

協働は、突然始まらない

協働学習というと、
「特別な活動」「高度な実践」
という印象を持たれがちです。

しかし、今回の授業が示しているのは、
まったく逆の事実です。

協働は、

  • 日々の3文
  • 日々の音読
  • 日々の「意味を考える時間」

の積み重ねの先に、
必然的に立ち上がる姿です。

Three Sentences. が育てる力は、
教室の中だけにとどまりません。

学校を越え

地域を越え

画面を越え

人と人をつなぐ
共通基盤になります。

福島と東京をつないだこのオンライン授業は、
そのことを示していました。

次はあなたの番

5回にわたり、見てきたのは

Three Sentences. という小さな「設計」が、

どこまで広がるかという問いでした。

それは、

  • 学び方を変え
  • 教室の空気を変え
  • 人と人との関係性を変える

設計思想です。

Three Sentences. はゴールではありません。

完成形でもありません。

あくまでも、

学びが動き出す起点です。

1文だけで止まっていた教室を、
3文で前へ進める。

今まで話せなかった生徒が、
三文目に自分の思いを足すようになる。

その瞬間から、
教室の空気は変わります。

そして、その変化は、
やがて教室の壁を越えます。

設計を変えることは、
未来の対話を変えることです。

明日のあなたの教室から、
新しい「協働」が始まるのです。

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この記事を書いた人

英語 "わくわく授業" 研究所 代表(元関西外国語大学教授)
(公財)日本英語検定協会派遣講師・(株)リンク・インタラック エグゼキュティブ・コンサルタント