💠うまくいかなかったときに、最初に疑いたいこと
研修で聞いたこと
本で読んだこと
「なるほど、これはよさそうだ」と思って、
自分なりにやってみた。
しかし、
うまくいかなかった―。
そのような経験は、
おそらく誰もがお持ちではないかと思います。
そのとき、
私たちはつい、こう考えてしまいます。
• 自分のクラスには合わなかったのかもしれない
• 生徒の実態(レベル)が違うからだろう
• 理想論だったのかもしれない
ただ、そんな時、
少しだけ立ち止まり、
こんなふうに考えてみていただきたいのです。
それは、
どこかで
「思い込みによるワープ」が
起きていたのではないか
ということです。
💠「同じようにやったつもり」が一番あぶない
うまくいかなかった実践を
あとから振り返ってみると、
こんな判断が潜んでいることがあります。
• ここは省いても大丈夫だろう
• この部分は、やらなくてもいいのでは?
• とりあえず、形だけ試してみよう
それでも、本人は
「同じようにやったつもり」。
でも、実際には
肝心な部分が抜け落ちていた。
これは、
手を抜いたというよりも、
• 目的や意図を十分に理解しないまま
• 自分の都合で
• 自分流に解釈してしまった
結果だと考えたほうが、
的を射ていることが多いようです。
💠「時間がない」は、ワープが起きやすい合言葉
特に多いのが、
次の判断です。
「時間がないから、とりあえず一部だけ」
「全部は無理だから、今日はここまで」
忙しい現場では、
そう判断してしまいがちです。
しかし、あとから振り返ると、
省いたその部分こそが
学びを支える「足場」だった
ということが、
本当によくあります。
つまり、
「足場」を十分にかけないまま、
「うまくいかなかった」と
結論づけてしまった。
その事実に気づいたとき、
「しまった、そうだったのか」と
胸が痛むこともあります。
💠「本当かな?」と疑いながらやると、学習は立ち上がらない
もう一つ、
見落とされがちなことがあります。
それは、
半信半疑のまま実践してしまうことです。
「まあ、やってみるけど」
「正直、効果はよく分からないけど」
「周りの人がやっているから」
このスタンスは、
教師自身が
その実践の目的、意図や意義を
十分に理解しないまま行った
ことから生まれています。
しかし、生徒たちは驚くほど敏感にそれを感じ取ります。
「やらされている」
「先生は本気じゃない」
そう感じた瞬間、
残念ながら
どれだけ時間をかけようが
学習は立ち上がりません。
授業には、
教師の覚悟が
そのまま映し出されてしまいます。
授業は、教師が気づかないところで、
学習者の「心の動き」によって方向づけられています。
その面白さと怖さを知っておかねばなりません。
大事なのは、「教えること」の前に、
「まずは、生徒理解(相手の気持ちに向き合うこと)から」
という姿勢です。
💠「失敗」ではなく、「条件がそろっていなかった」と考える
うまくいかなかったときに
心がけることは、
🔴 他に責任転嫁をしないこと
🔴 自己否定をしないこと
です。
代わりに、
こう問い直してみてください。
• 無意識にどこかを省かなかったか
• どこかを自分流に変えていなかったか
• 本来の目的や意図を、きちんと理解していたか
一つひとつ点検していくと、
必ず、
「ああ、ここだったのか!」
と思い当たる場面、
そして腑に落ちる瞬間が訪れます。
💠典型例:マッピングが機能しなかった理由
典型的な例を挙げましょう。
マッピングの指導です。
(過去に書いた内容の繰り返しになりますが、
今回は具体的にご紹介しておきます)
「正しい理解」を経ないまま、
付け焼き刃で実践すると、
次のような NG が起こります。
❌NG①
いきなり、マッピング、インタビュー・マッピングから始めた。
その前に
基本文を使って身近なことを言わせる(書かせる)
Q&A 、キーワードから質問を作る、深掘りをする
といったトレーニングを帯学習に組み入れ、
系統的に練習をさせていなかった。
さらに、
マッピングに入る前に
「マンダラ・チャート」による
発想力・連想力を高めるトレーニングを
行っていなかった。
これでは、広げられない・つなげられないのは当たり前と言わざるを得ません。
❌NG②
放射線状に広げるトニー・ブザン式マッピングを使用していた。
これはブレーンストーミングには有効ですが、
あとで整理しにくいという弱点があります。
本来必要なのは、
フィンランドで使われている
アヤトゥス・カルタ(階層式マッピング)のように、
項目を段階的に(左端から右に向けて、あるいは上から下に向けて)
整理していく方法なのです。(アイキャッチの図を参照)
❌NG③
本来、使いながら身につける「技能」なのに、
「知識」として、
教師が頭から教え込んで(順に説明して)、仕切ってしまっていた。
適切な場面を用意し、
5つの基本ルールを伝えたうえで、
子どもたちに委ね、
協働学習を通して
より良いやり方に気づかせる。
このプロセスを、全く違ったやり方でやってしまえば、
マッピングが機能しなかったのも
起こるべくして起きた結果と考えられます。
このように、
うまくいかなかったのは
方法そのものではなく、
どこかで「省略」や「自己流」が
入り込んでしまった可能性があります。
“無意識の省略”は、
実は授業だけに限った話ではありません。
もしかすると、
衣類の脱ぎっぱなし、
使ったものが出しっぱなし、
授業がやりっぱなし
という習慣がついている方は、
そこから見直していくことが
大事なのかもしれません。
💠 丁寧さ(緻密さ)は、学びを裏切らない
実践は、
派手さでは決まりません。
結果を分けるのは、
丁寧さ(緻密さ)です。
すべてを完璧にやる必要はありません。
しかし、
自分で「やる」と決めたのであれば
疑わず、飛ばさず、やり通す。
それだけで、
生徒の反応も、
学びの深さも、
驚くほど変わってきます。
もし、
「やってみたけどうまくいかなかった」
という実践があるなら、
それは
達成の条件がそろっていなかっただけ
なのかもしれません。
もう一度、
原点(正しいやり方)に戻って、
今度は少しだけ丁寧にやってみてください。
「足場」をそろえてやれば、
生徒たちの反応は、
前回とはまるで違うものになるはずです。
