❶ 箱を開けます。
袋を破ります。
無数のピースが、机の上に広がります。
その瞬間、
多くの人が、ほんの少し立ち止まります。
どれから始めようか。
―あるいは、
どれから始めないかを考えているのかもしれません。
❷ 青一色の空
模様のない部分
どこにも引っかかりのない形。
そうしたピースに、
最初から手を伸ばす人はいません。
合っているかどうかが分からない。
手応えが感じられない。
時間だけ過ぎていきそう。
理由を言葉にしなくても、
身体のほうが、すでに分かっているからです。
❸ 代わりに、多くの人が探し始めます。
それは―
四つ角
端のピース
まっすぐな線。
それらが少しずつつながると、
ふっと視界が開けます。
「ああ、
このパズルは
これくらいの広さなんだな」
それは、
完成までの距離が、
初めて実感できる瞬間です。
❹ しばらくすると、
目立つ色や模様が集まり始めます。
花
建物
人の顔。
そうしたピースが塊になると、
全体の流れが、
一気に動き出します。
一方で、
どこに置けばよいのか分からないピースは、
自然と脇に寄せられます。
それは、見捨てたわけではありません。
「今ではない」と分かっているだけです。
❺ ときどき、
形は合っているのに、
どうしても絵がつながらないことがあります。
その違和感を無視して、
はめ込むこともできます。
しかし、
あとで必ず崩れます。
だから、そうならないように
一度戻します。
少し離れて全体を眺めてみます。
別の可能性を探します。
遠回りに見えて、
それが一番速い進み方だと、
経験が教えてくれます。
❻ 完成に近づくほど、
一度つながったピースを
外す場面が増えていきます。
並べ直します。
配置を変えます。
全体を見直します。
それは、迷っているからではありません。
見通しが生まれてきたからこそ、
自然に手が入っていくのです。
❼ そして、
ある瞬間が訪れます。
「これは違う」
「この色は、あの辺だ」
考える前に、
手が動くようになります。
判断が速くなるのは、
器用になったからではありません。
全体像が、
すでに頭の中にあるからです。
❽ ジグソーパズルが救ってくれるのは、
箱の表紙が、
最初からそこにあるという点です。
完成図が、
はじめに示されています。
もし、それを見ずに、
あるいは、
見たつもりで始めていたら―
作業は迷走し、
やり直しが増え、
いつの間にか、
楽しいはずの時間が
苦痛に感じられるかもしれません。
❾ 箱の表紙を確認する
最初に枠をつくる
目印になる部分を押さえる
違和感があれば、すぐに戻る。
これらのことは、
特別な技術ではありません。
私たちが
日頃から、ごく自然に行っている
「組み立てるときの知恵」です。
❿ ものづくりが
楽しいと感じられる瞬間は、
完成形が
はっきりとイメージできたときです。
「行けそうだ」
「もう少しだ」
そう思えたとき、
手は勝手に動き出しています。
Life is a Jigsaw puzzle – one piece at a time.
