🍀”Three Sentences.”で文脈を立ち上げる(2/5)

第2回:3文を「話す」に接続する(教室で回る型)

前回、
Three Sentences. は「3文を書く型」ではなく、
文脈を立ち上げる最小単位であることを確認しました。

では、その3文は
どのようにすれば「書くこと」から「話すこと」へと移っていくのでしょうか。

この点でつまずく授業を、これまで何度も見てきました。

ノートには3文が並んでおり、
文法的にも誤りは見当たりません。

しかし、
いざ話そうとすると、言葉が止まってしまいます。

なぜでしょうか。

それは、
3文が「項目」として作られているからです。

自分の頭の中に「文脈」ができていないのです。

◆ 三つは「項目」ではなく「流れ」

学習指導案では、

「思考・判断・表現」
「目的・場面・状況」

といった三つ組で整理されることが多くあります。

現場では略して「しはんひょう」「もくばじょう」と

呼ばれることもあり、
整理のためのラベルとしては確かに機能します。

ただし、ここに落とし穴があります。

三つを並べた瞬間、
それは流れではなく、
チェックリストとして扱われてしまうのです。

本来、

思考が動き、
それによって判断が生まれ、
その結果として表現が立ち上がります。

これは、時間の中で起きている一つの過程です。

また、

目的が定まり、
場面が分かり、
状況に応じて言葉を選ぶという流れも、
意味が形になるプロセスです。

三つは並列ではありません

◆ 三つを分けて指導すると、流れが止ま

学習指導案の中に「思考」「判断」「表現」という項目が

バラバラに書かれたものを見かけることがあります。

しかし、

思考だけを行い、
次に判断を行い、
最後に表現を行うという順番で進めると、
言葉は自分で選んだものではなく、
当てはめたものになってしまいます。

Three Sentences. が行っているのは、

1文目で「立場」を示し、
2文目で「理由」を述べ、
3文目で「相手に向けて意味づける」という、
意味の流れを
一息に通すことです。

◆ 流れを壊さないための「設計」とは

ここで、誤解が起きないように
一つだけ補足しておきます。

第1回で

Three Sentences. では、
新出文法を含む文は
1文目でも2文目でも3文目でも構わないと

言いました。

なぜなら、
文法の出現位置は、
文脈を整えるための設計上の選択に過ぎないからです。

1文目で
状況や話題を立てるために使ってもよいでしょう。

2文目で
具体的な情報や理由を補うために使ってもよいでしょう。

もちろん、3文目で
思いや結果、意味づけを乗せるために使うこともできます。

ただし、守るべきルールは一つです。

新出文法は、
3文のどこかで1回、
必要であれば2回までにとどめます。

大切なのは、
文法をどこに置くかではありません。

何をどのように伝えるのか。
どの順にすれば意味の流れが立ち上がるのか。

それを生徒自身が考えることです。

◆ 教師の問いによって、教室は変わり始める

教師の問いは、大きく二つに分けることができます。

① 指示型の問い

「3文で書きましょう」
「分かりやすいスピーチにしましょう」

このような問いは、活動の条件を示しています。
多くの生徒は、その条件を満たすことができます。

しかし、
思考そのものが深まるとは限りません。

② 思考喚起型の問い

一方、

1文目で、相手に何を分かってほしいですか
その理由は、初めて聞く人にも伝わりますか
最後に、何を持ち帰ってほしいですか

このような問いを受けた瞬間、
言葉は「ノルマ」から「意味」へと向きを変えます。

文の数は同じでも、
向いている先が異なってくるのです。

◆ 教室で「回る型」が立ち上がるとき

Three Sentences. が教室で回り始めると、

正解を探す発話が減り、
途中でも話そうとする姿が見られ、
友だちの言葉を意味」で聞くようになります。

教室は、
できたかどうかを確認する場から、
何が伝わったかを確かめ合う場へと変わります。

Three Sentences. の役割は、
完成された英文を作ることではありません。

一人の3文が、
別の誰かの思考を動かすきっかけになること

その循環の起点となることが重要なのです。

▶️ 第3回の予告

Three Sentences. が回り始めると、
教室の雰囲気は確かに変わります。

しかし、ここで

活動はあるのに、

学びが深まっているのかどうか、

教師自身が確信を持てなくなる瞬間が訪れます。

流れは生まれています。
それでも、見えないのです。

見えなくなった途端、

不安になった教師の授業は、
再び「作業」に戻ってしまいます。

次回は、
この見えない流れを構造として可視化する方法を扱います。

Three Sentences. を三段階で捉え、
今、思考がどこにあるのか
教室の中で見えるようにしていきます。

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この記事を書いた人

英語 "わくわく授業" 研究所 代表(元関西外国語大学教授)
(公財)日本英語検定協会派遣講師・(株)リンク・インタラック エグゼキュティブ・コンサルタント