🟢大修館書店から最新刊が出ます

8月8日に、最新刊『英語教師の授業デザイン力を高める3つの力』(大修館書店)が出ます。ネットでは8月下旬になりそうですが、夏休み中に読んで少しでも良い準備をしておきたいという方は、英語授業研究学会(8月11日、12日)で50冊だけ用意していただけるそうですので、そちらにお出かけください。

https://sites.google.com/view/eijuken2022/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

これは、一昨年、大修館書店『英語教育』誌に連載をしていたものを元に、新しく書きおろしたものです。中嶋がはじめに、1章、5章と終わりにを、宮崎貴弘先生(神戸市立葺合高校)が2章の「読解力」を、高橋友紀先生(京都府綾部町立綾部中学校)が3章の「要約力」を、岡山直樹先生(神戸市立須磨翔風高校)が4章の「編集力」を、そして吉岡拓也先生(神戸市教育委員会)がICTの項目を担当しています。4人の方には、連載時に、各章の取りまとめをしていただきました。最後は、中嶋が全てを校閲し、時間をかけて推敲をしました。

「手(指)」は、第二の脳であり、手を使わなければ(書かなければ)、学習内容は定着しません。内容の浅い即興のやり取りでよしとするのではなく、3技能を「書く」こととリンクさせることで、みるみる内容のあることが話せるようになっていきます。大事なのは、相手目線に立ち、学習者が書きたくなるトピックをしっかりと用意することです。

そこで、中学校、高等学校の「知識、技能」「思考、判断、表現等」「主体的に学習に取り組む態度」の指導と評価はどうあればいいかを、教師の「読解力」「要約力」「編集力」の3つの視点から迫ります。本書では、現場で勘違いされている指導と評価の「一体化」(教えたことをテストで評価する)の考えに警鐘を鳴らしています。

むしろ、それはコインの「表裏の関係」となります。「評価」(学習指導要領に書かれている、つけなければならない力)がコインの「表」であり、それが達成できるように「指導」し、「見極める」のがコインの「裏」の関係になるということです。大事なのは、ゴール(育った生徒の姿)から逆算するということです。それが頭にイメージできなければ、指導のプロセスがわからず、単元構想もできません。

授業で生徒がワクワクでするかどうかは、まさに教師の授業デザイン力次第です。それはテクニックではなく、「生徒理解」「相手目線」から始まります。では、それを活かして、学習者が”ど真ん中”にくる授業を作るにはどうすればいいのでしょうか。

過去に著した『だから英語は教育なんだ』(研究社出版)や『プロ教師に学ぶ真のアクティブ・ラーニング』(開隆堂出版)では、教師の「理念」と生徒がワクワクする「授業実践」についてご紹介をしてきました。今回は、「学習者心理」や「相手目線」(学習者をど真ん中に置く指導のあり方)について詳しく書きました。「内発的動機付け(思わずしたくなる)」を図るには、テクニックではなく、学習者の気持ち、脳の仕組みについて理解を深めておくことが大切だからです。

教師が説明してわからせるという授業では、学習内容が定着しません。Edgar Daleの「経験の円錐(Cone of Experience)」には、聞いたことは2週間経ったら2割しか覚えていないと書かれています。それは、自分ごとになっていかないからです。ずっと記憶に残るのは、自分で気づいたこと、自分が決めたこと、自分が実際にやってみたことです。教師がさせるのではなく、そのように「自己選択、自己決定、自己責任」のプロセスを仕組むとどうなるでしょう。教室だけでなく、家庭学習にも主体的に取り組む「自律的学習者」を育っていきます。

「わかった」で終わる授業は、どうしても最後が曖昧になりがちです。ワークシートで進める授業では、生徒がなんとなく「わかったつもり」になってしまいます。大事なのは、授業の最後に「できた!」という実感を伴う確認の活動を仕組むことです。皆さんも、自転車、水泳、パソコンなどが実際に自分の力でできるようになったときは、「もっと上手になりたい」という欲が生まれていたはずです。授業でも、プレゼンテーションソフトを使って何かを制作するという活動では、自分が身につけた技能をどんどん活用するようになります。すると、面白くてたまらなくなってきます。

そのような「内発的動機付け」の具体が、本書には、たくさん登場します。たとえば、6年生の授業で、直山視学官の目が点になった授業(教師が Repeat after me. を使わずに子どもたちと自然に interaction をとっていく授業)の映像がQRの中に入っています。『英語教育』連載時の4月号〜3月号までの原稿(PDF)も全て入れました。よって、連載を読んでおられなかった方は、バックナンバーを購入されることもなく、「つながり」を見つける楽しさを味わうことができます。ワークシートや詳しい「活動の取説」などもQRで紹介されており、実際に印刷をすると、2冊分になるのではないかと思います。時間をかけて丁寧に向き合っていただければ、きっとお役に立つのではないかと思います。皆さんも、2学期から、生徒も教師もワクワクする授業を展開してみませんか。 

各章の扉には、内容と関係のある格言が紹介されています。さて、皆さんが納得されるのはどれでしょうか。

https://www.taishukan.co.jp/book/b629725.html

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この記事を書いた人

英語 "わくわく授業" 研究所 代表(元関西外国語大学教授)
(公財)日本英語検定協会派遣講師・(株)リンク・インタラック エグゼキュティブ・コンサルタント