■ 動いているのに、考えていない授業
授業の最初の一分。
掴みをどう取っておられますか。
その入り方次第で、その時間の質は決まります。
雑談で入るのはNGです。
服装検査、持ち物検査、さらにNGです。
では、ちょっと授業を覗いてみましょう。
どれどれ、おや?
「前回、何をやりましたか」
「覚えている人?」
いきなりですか。
でも、よく見かける光景です。
違和感はないかもしれません。
しかし、実はここで起きているのは
思考ではありません。
思い出しているだけです。
答えを出すのは思考だと考えられがちですが、
頭の中にあるものを取り出しているだけなら
検索です。
思考とは、
学習が「活用(自分なりに
学んだことを組み合わせられる)」
になっているかどうかで判断されます。
■ 活気はあるのに、広がらない授業
少しだけ導入の形を変えてみます。
三択問題にします。
ペアで答える方を決めます。
こうすると、教室は活気づきます。
声も出ます。
ところが、しばらく見ていると
あることに気づきます。
話が広がっていかないのです。
理由は明白です。
答えが固定されているからです。
選択肢の中で考えている限り、
思考はその外に出ません。
活気があるように見えたのは、
ジャンケン(答える方が決まる)があったからです。
■ 思考が動き出す瞬間
どうすれば「思考」が動き出すのでしょうか。
ポイントは次の三つです。
1) 情報が足りないこと。
2) 答えが決まっていないこと。
3) 考えが揺れるようにすること。
たとえば、中学生の教室であれば、こうします。
前時でやった文法を取り入れながら Teacher talkをするのです。
T: Many students use AI for homework.
(止める)
T: Is it good or bad? In three seconds.
S: Good. / Bad.
T: Why?
S: It’s good because it is easy.
S: I think it’s bad because we don’t think.
T: Do you use AI?
S: Yes.
T: Aha. Then, when you use AI,
do you think first, or ask AI first?
(揺さぶる)
S: …I ask AI and I just copy.
S: I ask AI first. I don’t think much.
T: Then… is it still good?
(考えが揺れる)
S: Maybe no…
T: When is AI good?
S: When we check answers.
S: When I need some hints.
T: When is it bad?
S: When we just copy.
S: When we let AI do our homework.
T: OK. Please say your ideas again.
S: AI is good when we learn, but bad when we just copy.
S: AI is smart, but we need to think first.
ここで起きていることは、単なる会話ではありません。
最初は「良い・悪い」という判断です。
次に理由がつきます。
そして、一度決めた考えが揺れます。
最後に、もう一度組み立て直されます。
■ 思考は「変わったとき」に生まれる
思考とは、最初から正しいことを言うことではありません。
一度考え、
揺れて、
もう一度つくり直すことです。
答えが変わる瞬間に、思考は立ち上がります。
だとすると、「思考・判断・表現」の力を見るテストはどうなればいいのでしょうか。
■ テスト問題が「暗記」になっていないか
もし授業が「思い出すこと」を中心にしているなら、
テストも「覚えているか」を測るものになります。
しかし、思考が変化することを目指すなら、
評価も変わらなければなりません。
必要なのは、
自分で選び、
自分の考えをつくり、
その理由を言葉にすることです。
■ 導入は「伏線回収」で
導入は、単独(いきなり)ではうまく機能しません。
前の時間の終わりと、次の時間の始まりはつながっています。
単元全体が見えている授業では、
前時であえて答えを出し切らずに終えます。
あえて中途半端で終わると、脳はずっとそれを覚えています
ツァイガルニク効果です。
そして次時、そこから始めます。
「前回の復習」ではなく、
「あの続き、どう考える?」です。
または、前時に仕掛けておいたことを伏線回収します。
その瞬間、学びが磁石のN極とS極のようにパッとつながります。
■ 最後に
明日の授業、どう始めますか。
前時で教えたことを思い出させますか。
それとも、揺さぶりますか。
あなたの決めた一分が、教室の未来を決めます。
