第2回 「バラバラ」に見えるのは、”つながり”で授業を設計していないから
Can-Do・帯活動・評価が一本になる瞬間
「定期テストの作り方がわからない」
「Can-Doが形だけになる」
「帯活動がマンネリ化する」
「パフォーマンス評価が発表会になる」
現場では、
こうした悩みをよく聞きます。
しかし、実は、
これらは別々のことではありません。
すべて、つながっています。
もっと言えば、
“授業全体がつながって見えていないこと”
に本当の原因があります。
「方法探し」が始まると、授業は苦しくなる
今の現場には、「まず方法を知りたい」
という空気があるようです。
帯活動の例、定期テストの例、
パフォーマンス課題の例、
スモールトークのネタ。
確かに具体は必要です。
ただ、サンプルや、how to もの(レンチン教材)
など、目先のことばかり見ていると、授業はどんどん苦しくなります。
なぜなら、それらは“1枚の付箋”に過ぎないからです。
やがて教師の頭の中は、
帯活動、Can-Do、定期テスト、ICT、
ライティング、スモールトークという、
「バラバラの付箋」だらけになります。
そして、それらを一つひとつ別個に処理しよう
とするから、苦しくなるのです。
「思考・判断・表現」が見えないと、評価は崩れる
例えば、パフォーマンス評価。
「発表させればいい」と思った瞬間、
評価は形だけになります。
なぜなら、本来のコミュニケーションには、
“相手”がいるからです。
相手がいて、反応があり、
その場で選び直しが起きます。
つまり、
質問に応じる、聞き返す、
比較して判断する、即興で返す、
そこに、本来の「思考・判断・表現」が生まれてきます。
帯活動は、「毎日やること」ではない
帯活動も同じです。
毎回、基本文、Q&Aだけをやっていると、
やがて、それは“作業”になります。
つまり、力をつけるのではなく、
こなすようになります。
大事なのは、「何を積み上げるか」です。
例えば、一文を足す。
相手のキーワードを拾う。
質問を返す。
90秒つなぐ。
メモなしで言い換える。
そうした「処理をすること」が繰り返されて、
少しずつ「話せる」「書ける」という自信が
育っていきます。
つまり、帯活動は、単独では存在しないのです。
単元末のタスク、パフォーマンス評価、
Can-Doなどとつなげることで、生徒たちも
「何のためにやっているのか」という意義を
感じるようになります。
Can-Do は「一覧表」ではなく、「育ちの地図」
Can-Doも、誤解されやすい部分です。
出すように言われ、
作る(仕上げる)ことが目的になると、
ただの一覧表です。
生徒に渡さないのであれば、
せっかく作っても、使うことはありません。
本来は、「どんな学習者を育てたいか」
を共有するためのものです。
それは、教師にとっては「設計図」。
そして、生徒にとっては
「今、自分はどこまで来たのか」
を見る「地図」なのです。
「教科書を終わらせる」から、「学習者を育てる」へ
ここが見えてくると、
授業の見え方が変わります。
この単元では、
「理由を述べる力」を育てる。
この単元では、
「質問を返す力」を育てる。
この単元では、
「比較しながら話す力」を育てる。
そう考えられるようになると、
帯活動、定期テスト、パフォーマンス評価
Can-Do、自己表現活動などが、
一本につながり始めます。
すると、年間指導計画は、
単なる「進度表」ではなくなります。
「どこで、どんな学習者を育てるか」
という「設計図」に変わるのです。
本当に必要なのは、「教師の読解力」
学習指導要領を「理解する」とは、
「記載されている目標を、
日々の授業でどう具現化するか」
を考えることです。
それは、
授業を教科書通りに進めることではなく、
教科書に載っている練習や言語活動が
学習指導要領のどれとつながっているのかを
知り、単元の最初に「どんな力をつけるための
活動であるか」「最後はどうなればいいのか」を
きちんと生徒に伝えられるということです。
繰り返します。
どんな学習者を育てるのか。
どの単元で、何を積み上げるのか。
どこで統合するのか。
そこが見えて初めて、
定期テストも、帯活動も、
Can-Doも、パフォーマンス評価も、
全部が同じ方向を向き始めます。
だから、本当に必要なのは、
“どこかにある、すぐにできる方法”
をあてもなく探し続けることではなく、
授業全体を貫き通す、
骨太の「設計思想」を持つことなのです。
第三回の予告
では、帯活動、Can-Do、
定期テスト、パフォーマンス評価を、
実際にはどの順番で考えればよいのでしょうか。
生徒が育っている授業の学習指導案を拝見すると、
多くの教師は、
「最初のページ」からではなく、
「最後の授業(育った生徒の姿、何がどこまでできるか)」
から逆算して考えていることがわかります。
次回は、
学期末の Project 学習 を起点に、
単元全体をどう逆算して設計するのかについて
考えてみたいと思います。
