主体性には、「選び直し」がある ― 係活動が教えてくれること ―
前回、自主性と主体性の違いについて考えました。
当番活動では、やるべきことが決まっています。
一方、係活動では、何をするのか、どのように進めるのかを自分たちで考えなければなりません。
その違いが、主体性を考える上で大切だということを述べました。
今回は、その続きを考えてみたいと思います。
「やり直し」ではなく、「選び直し」
係活動を見ていると、最初からうまくいくことはあまりありません。
例えば、クラス新聞を作ろうとした時です。
「こんな記事なら面白いのではないか」
と思って載せてみても、思ったほど読まれないことがあります。
みんなが興味を持つと思った内容に、反応が集まらないこともあります。
友達同士で相談しても意見がまとまらず、なかなか前に進まないこともあります。
そんな時、子どもたちはこう考えます。
何がよくなかったのだろう。
別の方法はないだろうか。
もっと読みたくなる工夫はできないだろうか。
そこで起きているのは、やり直しではありません。
選び直しです。
主体性は、決めた後に見えてくる
主体性という言葉を聞くと、「自分で決めること」を思い浮かべることがあります。
もちろん、それも大切です。
しかし、係活動を見ていると、主体性は何かを決めた瞬間に現れるというよりも、
一度決めたことを見直す場面で見えてくるように思います。
思ったような結果にならなかった時、
そのまま続けるのか、
それとも方向を変えるのか。
そうした判断が求められます。
主体性は、そのような場面の中で少しずつ育っていきます。
教師が最初にレールを敷いてしまうと、活動はスムーズに運びます。
迷う時間がなくなり、
予定通りに進みます。
その一方で、考え直す機会はなくなります。
特に、やり方がワークシートなどで示されていると、
その通りに行います。
それは、係活動でありながら、少しずつ当番活動に近づいていく姿と言えます。
授業でも同じことが起きている
授業でも、似たようなことが起きていないでしょうか。
例えば、新しく学んだ文法を使ったパターン練習があります。
表現に慣れるためには大切な活動です。
ただ、その段階では、相手に応じて言葉を選ぶことはほとんどありません。
会話の途中で伝え方を変える必要もありません。
ところが、相手とのやり取りが始まると状況はガラリと変わります。
思っていた反応が返ってこないことが起こります。
うまく伝わらないことが出てきます。
話が予想外の方向へ進むこともあります。
その時、学習者は別の言い方を探し始めます。
説明を加えたり、話題を変えたりしながら、何とか伝えようとします。
そこでも起きているのが、選び直しです。
主体性は、思い通りにいかない場面で見えてくる
主体性は、思い通りにいかない場面でこそ発揮されます。
順調に進んでいる時には見えなかったものが、そこで初めて見えてきます。
教師が見るべきなのは、最初にどんな選択をしたかだけではありません。
うまくいかなかった時に、その子が何を考えたのか。
何を変えようとしたのか。
そこには、その子なりの判断や理由が見られます。
主体性は、そのようなところに現れてきます。
子どもたちは、「選び直し」の中で育つ
係活動を見ていると、
主体性とは、自分の好きなように行動することではないことがよく分かります。
思い通りにいかなかった時に立ち止まり、別の方法を考えること。
周囲の意見に耳を傾けながら、自分の考えをつくり直していくこと。
その経験の中で、子どもたちは少しずつ成長していきます。
学校行事や係活動だけでなく、授業の中にも、そのような場面はつくれるはずです。
答えを急がず、考え直す時間を残しているだろうか。
子どもたちが、自分で選び直せる余地を残しているだろうか。
主体性について考えるとき、私たち自身もまた、
その問いと向き合う必要があるのかもしれません。
何故なら、私たち大人も、そうやって育ってきたのですから。
