🍀教科書は同じなのに、授業はなぜ変わるのか – 教科書を考える 4/5 –

教師は教科書のどこを見ているのか

前回は、教師には「軸足」が必要だということを書きました。

では、その軸足は、授業のどこに表れるのでしょうか。

答えは、教師が教科書のどこを見ているかにあります。

◆ 教科書は同じでも、授業は変わる

同じ教科書を使っていても、授業は教師によって驚くほど違います。

ある教師は、新しい語句や文法を教えることを中心に授業を組み立てます。

ある教師は、子ども同士が考えを伝え合う場面を大切にします。

また、別の教師は、一つの問いをじっくり考えさせる時間をつくります。

教科書は同じです。

違うのは、教師が教科書のどこを見ているかです。

◆ 教科書には、いくつもの顔がある

一つの教材にも、さまざまな見方があります。

英語を話すための教材として活用することができます。

事実発問、推論発問、評価発問を組み合わせ、思考させる教材にすることもできます。

友達の考えを聞き、自分の考えを見直す教材として使うことも可能です。

教科書が授業を決めるのではありません。

教師が教科書をどう読むかが、授業を決めます。

◆ 教師は、教科書ではなく「経験」をデザインする

授業研究会で、「なぜ、このような単元計画にされたのですか」と尋ねることがあります。

知りたいのは、選んだ活動の説明ではありません。

この授業で、子どもにどのような経験を積ませたかったのか。どんな力をつけさせたかったのか。

その一点です。

教師は、教科書をただ教えるのではなく、

子どもの「経験(4技能5領域の力がつくこと)」を

長期・中期・短期的に責任を持ってデザインするのが仕事だからです。

◆ 授業には、その教師の”理念”が映る

授業を参観していると、教材よりも教師の姿が見えてきます。

どんな発言を取り上げるのか。

どこで問い返すのか。

どこで待つのか。

その一つ一つの判断には、「どのような子どもを育てたいのか」という教師の願いが表れています。

だからこそ、授業は金太郎飴ではなく、千種万様なのです。

◆ 教科書を見る目が、授業を変える

教科書は、これからも変わっていくでしょう。

生成AIも、新しい教材も次々に生まれます。

しかし、本当に授業を変えるのは、新しい教材ではありません。

教科書の中に、子どもが考え始める場面を見つけられるか。

子ども同士が学び合う可能性を見つけられるか。

そこをピンポイントで「見つけられる目」が、授業を変えていきます。

教科書は同じでも、授業が違う理由は、そこにあります。

それは、4月最初の授業をどうするかで決まります。

教科書を考えるの第5回(最終回)は、それについて考えてみます。

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この記事を書いた人

英語 "わくわく授業" 研究所 代表(元関西外国語大学教授)
(公財)日本英語検定協会派遣講師・(株)リンク・インタラック エグゼキュティブ・コンサルタント